宮古の魚,こぼれ話(その4)

その1(ドンコ)その2(マガキ)その3(ニシン)その4(ママス)
その5(アブラメ)その6(スイコ)その7(夏いか)その8(はも)
その9(シュウリガイ)その10(カツオ)その11(ヒラメ)その12(サケ)



 「広報宮古」にて掲載されていた「宮古の魚,こぼれ話」を,今年から月1回,このホームページでも紹介します。
 宮古で獲れる水産物のちょっとした情報(ネタ)を皆様にお伝えできたらな,と考えています。
 料理のレシピも同時に紹介☆



●● 今月の魚:「ママス」,標準和名:サクラマス,学名:Oncorhynchus masou masou

 春です。今年もサクラの花が楽しみで仕方がありません。
 
 ここ宮古では,ウメとサクラ,モモの花が一度に楽しめます。
 
 文字通り春爛漫で,冬の厳しさも吹っ飛んでしまいます。
 
 この時期になるとニュースでママスの水揚げが取り上げられ,市場の活気と銀鱗の大きな魚体は早春の風物詩となっています。
 
 でも,皆さんはこのママスが川に棲むヤマメの海に降ったものだということご存じでした?
 
 ヤマメは秋に卵からかえり1年数ヶ月を川で過ごした春,大きな岐路に立たされます。
 
 身体の大きいものはそのまま川に残りますが,小さな魚は海へと旅立つことを選びます。
 
 海は栄養たっぷりで大きく育つことが可能ですが,その分敵も多く,生き残る率は低くなります。
 
 チビのヤマメたちは幼い時に大きな賭を迫られるわけです。
 
 一年後,サクラの花の咲く頃,ごく一部生き残ったヤマメたちは50〜60cmに育った立派な身体と,銀ぴかの鱗をまとい
ママスとして母なる川へ帰ってきます。
 
 ようやく,川にたどり着いたママス達は,ほとんど餌もとらず秋までじっと過ごし,紅葉の頃,銀色の身体を紅の婚姻色に
染めて産卵します。
 
 卵を産んだママスはサケと同様,次の世代に命をたくし,一生を終えることになります。
 
 言い忘れましたが,宮古をはじめとした本州のママスはほとんどが雌です。
 
 卵をたくさん産める大きな身体を得るため危険な海におり,一発逆転の賭けにでる・・・
 
 なんか鉄火肌の『姐御』ってかんじですね。
 
 さて,ママス料理です。サケ・マスの中でも脂ののったママスは食味も値段も一級品です。
 
 塩焼きや醤油ダレにつけた照り焼きなどが一般的ですが,今回はホイル焼きにしてみました。
 





【レシピ】
 
1.蕗味噌を作りましょう。蕗の薹を軽く塩ゆでし,細かくみじん切りにします。
  味噌の中に刻んだ蕗の薹と少量の酒,砂糖,鰹節を加え弱火で練り上げます。
  少し味噌の色が濃くなり,良いにおいが立ってきたら出来上がり。
 
2.ママスの身は食べやすい大きさに切り分けて,蕗味噌に合わせるものは軽く塩を振っておきます。
  ウドと合わせる方は醤油ダレ(醤油:酒=1:1)に30分ほど漬け込みましょう。
 
3.身をそれぞれアルミフォイルにのせ,塩を振った方には蕗味噌を,醤油ダレに漬け込んだものには
  皮をむいたウドを添えて包みます。
 
4.オーブンで火が通るまで焼きます。概ね15分から20分くらいでしょうか。
  ママスの身が白っぽくなり,串を刺して透明の汁が出てくるようならOKです。
 

【今月のキモ】
 
『春を添えて召し上がれ』
 
 この時期に獲れるママスの食味は言うことなしですが,待ち望んだ季節の使者ですから
存分に「春」を味わいたいですね。
 
 野草と一緒にホイルで包めば,開けたときの香りはそれこそ春爛漫を満喫できること請け合いです。
 
 今回は,蕗の薹とウドを使いましたが,タラの芽,葉ワサビなども相性バッチリです。是非おためしアレ!!

 

写真左:蕗味噌に合わせます
写真右:ウドを使いましたが,タラの芽,葉ワサビなども相性バッチリ
 
 写真提供:宮古市総務企画部企画課
 紹介:西海区水産研究所(元:宮古栽培漁業センター),有瀧真人(宮古湾の藻場・干潟を考える会)





その1(ドンコ)その2(マガキ)その3(ニシン)その4(ママス)
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