宮古の魚,こぼれ話(その3)

その1(ドンコ)その2(マガキ)その3(ニシン)その4(ママス)
その5(アブラメ)その6(スイコ)その7(夏いか)その8(はも)
その9(シュウリガイ)その10(カツオ)その11(ヒラメ)その12(サケ)

 「広報宮古」にて掲載されていた「宮古の魚,こぼれ話」を,今年から月1回,このホームページでも紹介します。
 宮古で獲れる水産物のちょっとした情報(ネタ)を皆様にお伝えできたらな,と考えています。
 料理のレシピも同時に紹介☆



●● 今月の魚:「ニシン」,標準和名:ニシン,学名:Clupea pallasii

「♪♪海猫(ごめ)が鳴くからぁ ニシンが来ると〜 赤い筒袖(つっぽ)のぉ ヤン衆がさわぁぐぅ〜♪♪」
 
 ニシンと言えば北の酒場や身を切るような寒さ,熱燗に陰のある女・・・・。どうしても北海道,
それも最果ての地を思い浮かべます。
 
 でも,皆さん岩手県の宮古湾にもニシンがいること,ご存じですか?
 
 元々ニシンは北の魚ですが,昭和30年から平成にはいるまでは茨城県の涸沼や宮城県の万石浦で
500トン規模の水揚げがありました。
 
 しかし,これらの地域は,環境の変化や乱獲によりほぼ壊滅状態で,「今は昔」の話になっています。
 
 一方宮古湾では,宮古栽培漁業センターが稚魚の放流を継続した結果,それまでほとんどニシンの
獲れなかったものが,現在沖合のトロールも含めると10トンほど漁獲されるまでになっています。
 
 ニシンはどうして宮古湾で増えて来たのでしょうか。
 
 いろいろ調べた結果,宮古湾で放流した稚魚は北海道の噴火湾まで旅をして,2年後卵を産みに再び
帰ってくることがわかりました。
 
 なぜ彼らは遠路はるばる宮古まで帰ってくるの??
 
 それは,宮古湾に存在する藻場が,ニシンの産卵にとって不可欠で,自然環境の整ったこれらの
場所が「幼稚園」として機能しているからなのです。
 
 宮古湾に注ぐ津軽石,閉伊の清流,それによってはぐくまれた豊かな環境,特に湾の奥に広がる干潟や
藻場はニシンだけでなく多くの魚介類の幼稚園として,大きな役割を果たしています。
 
 このように豊かな海が備わった宮古は人が住むにもすばらしい土地であり,地域住民の「宝物・財産」
であると感じます。
 
 それ故,いつまでもニシンが産卵に帰ってくる環境が失われないことを祈らずにはいられません。
 
 豊かな自然を守るには,公的機関だけでなく地域全体での活動が大切だと思います。
 
 さて,ニシン料理です。今回は,押し寿司を作ってみました,是非おためしアレ。
 




【レシピ】
 
1.まずは,ニシンを三枚におろし両面が真っ白になるくらい塩を振りかけます。
  そのまま30分〜1時間ほどザルなどの上においてください。
  すると,余分な水分がしたたってくるはずです。
 
2.塩で十分に〆った身は指で押すと弾力を感じるようになります。
  手早く水で塩を洗い流し,酢に漬け込みましょう。
  漬けておく時間はお好みで,1時間から2晩くらいまで。
  私は1晩漬けて小骨が柔らかくなった方が好みです。
 
3.すし飯を作って型に詰め込み,2枚(1尾分)の〆ニシンをのせてぎゅーっと押したら出来上がり。
  すぐにでも食べたい気持ちはわかりますが,そのまま一晩おいておくのがおいしく食べるポイント。
  ニシンの脂や風味がすし飯にしみこんでうまみが増します。
 
4.濡れ布巾などで包丁を拭きながら切り分けてください。
  そうそう,型に入れるとき,ラップを敷いておくと後々大変便利です。
  また,おし型のない方はラップにすし飯と〆ニシンをのせて巻きすでおし固めても大丈夫です。
 
5.切り分けた押し寿司は,ワサビ醤油やカラシ醤油でご賞味ください。
 

【今月のキモ】
 
「酢にあてる前処理,塩振りは大胆に雪の降るごとく」
 
 塩を大量に振って身を〆ることが大切です。
 
 ニシンといえば身欠きニシンが真っ先に出てきますが,新鮮なものは生に近い形で食べるのが一番です。
 
 特に,酢との相性は抜群で,〆た切り身を酢みそ,ネギと合わせたヌタや洋風に香味野菜と合わせた
マリネなど,いずれも脂ののったうまみと食感がたまりません。
 
 写真提供:宮古市総務企画部企画課
 紹介:西海区水産研究所(元:宮古栽培漁業センター),有瀧真人(宮古湾の藻場・干潟を考える会)





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