宮古の魚,こぼれ話(その10)

その1(ドンコ)その2(マガキ)その3(ニシン)その4(ママス)
その5(アブラメ)その6(スイコ)その7(夏いか)その8(はも)
その9(シュウリガイ)その10(カツオ)その11(ヒラメ)その12(サケ)


 「広報宮古」にて掲載されていた「宮古の魚,こぼれ話」を,今年から月1回,このホームページでも紹介します。
 宮古で獲れる水産物のちょっとした情報(ネタ)を皆様にお伝えできたらな,と考えています。
 料理のレシピも同時に紹介☆

 

(写真:カツオ)

●●●今月の魚:「カツオ」,標準和名:カツオ, 学名:Katsuwonus pelamis

 『まな板に小判一枚初鰹/基角』・・
 
 季節の先取りを“粋”と尊ぶ江戸っ子にとってカツオは命あふれる季節,初夏の象徴として
もてはやされてきました。
 
 でもこの初鰹,南の海から餌を求める旅の途中で,脂の乗りはイマイチです。
 
 やはり,北の海でたんまり餌を食べてグラマーになった秋の戻りガツオが一枚上だと思います。
 
 カツオは熱帯域で生まれ,冬場は暖かい海で越冬し,夏場は餌の豊富な海域へ北上することを
成熟する3歳くらいまで続けます。
 
 そして70cm以上に大きくなった個体は南洋で卵をせっせと産むことに専念します。
 
 従って日本の近海で捕れるカツオはまだまだ若い『ひよっこ』といったところでしょうか。
 
 カツオの語源は,たくさん獲れて人々の主食=糧(かて)になった魚(いお)→かていお=カツオという説と,
その昔鮮度の落ちないように茹でてから干物にした堅い魚→かたいお=カツオという説があります。
 
 いずれにしても室町時代にはたくさん獲られてみんなに食べられていたという記述があることから,
日本人にとって大昔から利用する重要な水産物であったことにまちがいありません。
 
 しかし,そんな昔にどうやって沖合のカツオを大量に漁獲していたのでしょうか。
 
 少なくとも今よりは海が豊で,カツオもたくさんいたんでしょうね。
 
 そんなことを考えながら戻りのカツオを食べると少しほろ苦い味がします。
 
 さて,今月は脂の十分に乗った戻りガツオをお寿司にしました。
 
 この料理は私の生まれ故郷三重県の郷土料理で『手こね寿司』といい,元々は漁師が海の上で食べるものとして
伝わってきました。
 
 今回は,カツオで作りましたが,これからが旬のショッコ(ブリの若魚)やヒラメ,タイなどの白身の魚でも
大変おいしいものです。是非おためしください。
 

 

【レシピ】

1.カツオの身を食べやすい大きさに切り分けます。
  使うのは背身でも腹身でも良いですが,さっぱり好みは背身,こってり好みは腹身が良いかもしれません。
  また,カツオの刺身は厚めに切りますが,手こね用は幾分小さい方が酢飯になじみやすいです。
 
2.さばいた身を漬け汁(醤油:日本酒を1対1の割合)に一晩漬け込みます。
 
3.酢飯を作り,漬け込んだカツオの身と少量の漬け汁を混ぜ込みます。
 
4.大きなお皿に盛り上げて,刻んだショウガ,シソの葉,薄焼き卵,海苔を振りかければ完成。
 
 
【今月のキモ】
『刺身の残りも漬けで大変身』

 刺身の残り物,どうされていますか?
 
 お困りの時は醤油と日本酒1:1の漬け汁に放り込んでしまいましょう。
 
 翌日には醤油できりっとしまった身が輝きを増しているはずです。
 
 今回のように寿司だねにするもよし,そのまま丼でいただくもよし。
 
 余り物も漬けで2度おいしくなります。
 
 また,カツオを漬け込んだものはフライパンなどで焼くと即席の照り焼きになります。
 
 お弁当のおかずにぴったりですよ。


 


(写真:手こね寿司)


 
 写真提供:宮古市総務企画部企画課
 紹介:西海区水産研究所(元:宮古栽培漁業センター),有瀧真人(宮古湾の藻場・干潟を考える会)





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