宮古の魚,こぼれ話(その9)
その1(ドンコ)・
その2(マガキ)・
その3(ニシン)・
その4(ママス)
その5(アブラメ)・
その6(スイコ)・
その7(夏いか)・
その8(はも)
その9(シュウリガイ)・
その10(カツオ)・
その11(ヒラメ)・
その12(サケ)
「広報宮古」にて掲載されていた「宮古の魚,こぼれ話」を,今年から月1回,このホームページでも紹介します。
宮古で獲れる水産物のちょっとした情報(ネタ)を皆様にお伝えできたらな,と考えています。
料理のレシピも同時に紹介☆
(写真:シュウリガイ(ムラサキイガイ))
●●今月の魚:「シュウリガイ」,標準和名:ムラサキイガイ,
学名:Mytilus galloprovincialis
日本全国,沿岸の防波堤や消波ブロック,ロープやブイ,船底などなど,波の穏やかな海の浅い場所には
決まってシュウリガイ(またはシュウリ)がびっしりと黒い塊を作っています。
標準和名でムラサキイガイと呼ばれるこの貝,今では北海道から九州まで広く分布していますが,
元々は地中海を中心としたヨーロッパが原産地です。
船などにくっついて1920年頃,神戸に定着したのが起源だと考えられています。
その後は一気に広がり1960年代には全国各地で見られるようになりました。
宮古湾では養殖した牡蠣に付着し,成長を阻害する大きな原因となっていますし,ほかの地域でも,
発電所等の取水管を目詰まりさせるなどその旺盛な繁殖力は困りものとして扱われています。
しかし,一方では海水中の懸濁物を餌とするため,浄化力の大きな生物としての役割も見逃せません。
食材としては『ムール貝』としてフランスやイタリア,スペインなど南ヨーロッパ地方の料理では
欠かせない存在です。
大振りの貝殻は見た目にも華やかで,コクのあるうまみはパエリヤやブイヤベースなどの味の
決め手となっています。
しかし,加熱すると貝自体が縮んでしまう欠点があり,殻ばかりの貝=空貝などと陰口を
たたかれることもあります。
でも9月,10月,宮古湾のシュウリは産卵前に栄養をからだイッパイに貯めて風味満点,
身もしっかり詰まっています。
春の『花見ガキ』に劣らない魅力を持っていると思います。
秋限定の逸品『菊花シュウリ』とでも命名しましょうか・・イマイチ?
さて今回は,パスタにしてみました。酒蒸しにしたシュウリ貝の身をふんだんに使った贅沢な一品です。
是非おためしアレ。
(写真:シュウリガイの酒蒸し)
【レシピ】
1.殻付きのシュウリガイを水で洗い,蓋付きの鍋に入れます。
日本酒を振りかけ強火で貝の口が開くまで蒸し上げます。
蒸し上がったら飾り用の数個を残して身を外します。
鍋にたまった汁は使うので捨てないで!!
2.フライパンにオリーブオイル(なければサラダ油でOK),ニンニク,トウガラシをいれ弱火で香りを立てます。
良い香りがしてきたらタマネギ,ピーマン,キノコ類と刻んだ1.の貝を投入し,
野菜がしんなりするまで炒めましょう。
缶詰のトマトと貝の蒸し汁(鍋に残ったもの)を加えて煮込み,塩・コショウで味を整えてください。
(貝の蒸し汁に塩っ気があるので入れすぎに注意)
3.お好みのパスタを茹で, 2.のソースをたっぷりかけ残しておいた殻付きの貝を飾って完成。
【今月のキモ】
『むだ毛の始末はしっかりと』
シュウリは足糸というタンパク質の毛を身体から分泌して物に付着します。
料理の際には忘れずに取り除いてください。
取り忘れるともぞもぞと口当たりが悪く,百年の恋も冷めます。
これからが旬のシュウリガイは,今回のように酒で蒸し上げ,取り外した身を使って,炊き込みご飯やカレー,
クリームシチュウ,酢の物など何でも来いの万能選手です。
料理が面倒だという方は,蒸したものをショウガ醤油で召し上がってみてください。そのうまさにビックリするはずです。
(写真左:煮込んで塩・コショウで味を整える)
(写真右:完成。シュウリパスタ)
写真提供:宮古市総務企画部企画課
紹介:西海区水産研究所(元:宮古栽培漁業センター),有瀧真人(宮古湾の藻場・干潟を考える会)
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