<2007年2月末,今年もニシンがやってきた!>
宮古湾では宮古栽培漁業センターが,磯建網漁業者の協力の下,ニシンの調査のための特別再捕を行っています。
これは平成8年から,産卵ニシンの生態を調べるために行っています。
長年の研究から,湾内に入ってくるニシンは,湾奥部に来るほど成熟している個体が多くなること,宮古湾で生まれた
ニシンは,北海道まで回遊し,再び宮古湾へ帰ってくることなど,今まで分かっていなかったニシンの生態が解明されて
きました。
そして,今年もまた,ニシンが宮古湾の奥部にやってきました。
(写真:定置網に入ったニシン)
ニシンは磯建網に入ると,網に卵を産み付けることがあります。
そして今年も磯建網にニシンの卵が・・・
(写真:定置網に産み付けられたニシンの卵)
ニシンが網に卵を産み付けていたのです。
2月21日,ニシンは110匹以上入り,その中の8〜9割が産卵を終えていました。
♂♀の比率を半分,1匹の産卵数を5万とすると,この日だけでおよそ250万粒の卵が網に生み付けられた計算になります。
通常であれば網を干して卵を落としてしまいますが,卵の保護のため,網を海中に戻して孵化させる試みを行っ
ています。2週間〜3週間くらいで孵化が始まることでしょう。
また,今までの調査から,ニシンは2歳で成熟し,何度も産卵に来ることが分かっています。
今年も継続して調査を行うため,産卵を終えたニシンに青色のダートタグ標識を付けて再放流しました。
標識放流は,2月21日に90尾,2月23日に33尾,2月26日に10尾行っています。
このダート標識は,年毎に色を変えているので,何年に宮古湾に来たニシンか分かるようになっています。
左:標識ニシン
右:作業の様子
来年も,この宮古湾奥部に産卵のため,来てくれることを祈っています。
標識ニシンを見つけたら・・・
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独立行政法人 水産総合研究センター
宮古栽培漁業センター
〒027-0097 岩手県宮古市崎山4-9-1
TEL:0193-63-8121 FAX:0193-64-0134
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標識ニシンを見つけたのですが・・・と声をかけてください☆
<追記1(3月6日,卵が発眼)>
網に産み付けられたニシンの卵は,網についたまま,静かに孵化の時を待っていました。
そして3月6日,卵に眼が出来ているのが確認されました。
左:発眼したニシンの卵
右:ニシンが卵を産み付けた磯建網
孵化までもうすぐです・・・
<追記2(3月10日,孵化を確認)>
さて,こうして順調に育った卵。3月10日,見てみると・・・
左:網に付いた卵が孵化しました
右:孵化の終わった卵
無事に孵化し,宮古湾に泳ぎだしたようです。
網を入れ換えたり,揚げたりする作業は重労働です。
しかし,この取り組みによってニシンが増やせることが分かってきています。
そして,そのニシンが帰ってくるような藻場や干潟のある,豊かな宮古湾を守っていきたいですね。
(写真:ニシンの仔魚)
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